今回は2022年に開催されるカタールワールドカップが2026年大会からとされていた48カ国出場を前倒しで実施することが濃厚となっているので
その理由とデメリットをまとめてみました。
最後までご覧ください。
カタールワールドカップを48カ国出場にしたいFIFAの思惑【メリット】
カタールワールドカップを48カ国に拡大したいFIFAの理由を考えてみました。
理由①カタール単独開催は無理。
カタールは32カ国開催でも12の開催地が必要となるワールドカップを単独で開催するには国の規模として小さすぎることが懸念されていました。
人口268万人で面積11570平方キロメートルのカタールは新潟県とほぼ同じ。
新潟県と同じような地域に5万人以上収容のスタジアムを12も用意しなければいけないわけです。
ワールドカップ後には多くのスタジアムが負の遺産となるのは目に見えています。
スタジアムが出来たとしてもホテル、交通インフラが一杯になり混乱が生じることも想像に難くありません。
というわけでカタール単独開催が無理なのではないでしょうか。
理由②放映権収入の拡大。
ロシアワールドカップ決勝は11億人が視聴するという世界最大のコンテンツとなっていますが、グループステージは出場する国の視聴者が多いのが現状です。
出場する国が増えると、比例して視聴者数は増えます。
また、予選もワールドカップ出場の可能性がある国が増えることで視聴者数は世界中で増えることは確実。
というわけで放映権収入の拡大のためという理由があるのは明白です。
2014年ブラジル大会で全世界での放送権料の総額は2500億円。
1990年イタリアワールドカップでは80億円(24カ国出場)
2002年日韓ワールドカップ(32カ国出場)で1000億円を突破していることからも出場国枠拡大がもたらす経済効果はとてつもなく大きいですね。
理由③中国への忖度。
現在FIFAのスポンサード収入の8割が中国企業とされていますが中国代表は日本、韓国が予選に参加しなかった2002日韓大会以降ワールドカップ出場を逃しています。
FIFAにとってはスポンサードの多くを占めていて世界最大の人口を誇る中国は一番のお客様であり、中国がワールドカップに出場しやすい状況を作ることは自然なことです。
アジアの出場国枠を現行の4.5から8.5にすると報じられていますが、出場国枠の拡大は中国をワールドカップに出場させたい狙いがあるでしょう。
アジアの出場国枠が増えることは日本代表にとってもメリットが大きいですね。
また、中国を抜きにしても全人口の半分がアジアなのでアジアの出場国枠が増えるのは当然の流れでしょう。
例えば、南米は4億人で5/10カ国、ヨーロッパは7,5億人で13/50カ国でアジアは45億人で4/47カ国と考えるとアジアは少ないとなるのは仕方がないです。
1930年に13カ国で始まったワールドカップは1982年で24カ国となりアジア枠は2でした。
1998年フランスワールドカップから現在の32カ国となり、アジア枠は4に増えました。
アジア枠を倍に増やした理由は4年後に日韓ワールドカップを控えた日本代表のためと当時は批判的に海外で言われたものです。
現在は中国が20年前の日本と同じ状況となっているということですね。
ロシアワールドカップは史上最高の35億人の視聴者数を記、ワールドカップがオリンピックを超える世界最大のスポーツの祭典としての地位を確立したのは13カ国から32カ国へ拡大し、新興国へ門戸を広げ続けたからといえますので、中国及びアジア圏をサッカーファミリーへ迎え入れようとすることは当然でしょう。
理由④ノーベル平和賞
カタールと周辺国との共催をするうえでのネックはカタールが周辺5カ国と断交状態にあることです。
カタールが、イランがイエメンで支援するシーア派系武装勢力を手助けしたことがきっかけなのですが、宗教や石油利権が絡んだ地域のいざこざをワールドカップという「外圧」で解決したい狙いがカタールにはあるようです。
もし断交状態が解決され、UAE、サウジアラビアなどとの共催が実現すればFIFAはノーベル平和賞をもらうのではという報道も出ていますね。
カタールとしても共催で開催負担が減り、周辺国との断交状態が解消されるのは悪くない話。
FIFAにとっては共催はメリットしかないです。
問題はUAE、サウジアラビアなどが共催オファーを受けるかどうかです。
サウジアラビアとUAEはどちらもすでにワールドカップの試合を開催するだけのスタジアムを一定数揃えていて、とくにUAEはアジアカップ開催を成功させたばかりですからキーマンですね。
カタールワールドカップを48カ国に拡大して生じる弊害【デメリット】
これまで出場国枠拡大のメリットを中心に書いてきましたが、当然デメリットもあります。
デメリット①選手の負担が増える。
16チーム増加することで総試合数は64試合から80試合に増えるものの、1チームの最多試合数は7試合のまま変わらず、大会期間も現行の32日間で開催可能とのことなのでさほど心配はないですね。
ただし移動負担は増えそうですね。
デメリット②グループステージがややこしい。
グループステージが16に分けて3カ国総当たり上位2チームが決勝トーナメント進出という方式で行われる予定です。
3カ国だと最終戦で2試合同時に行うことができなくなり、1位、2位チームが引き分けでお互いにオーケーという状態で示し合わせたように引き分ける試合が増える可能性もあります。
また、グループで最後に試合をする2チームは決勝トーナメント進出の条件を知ったうえで試合が出来る分、明らかに有利。
判定や組み合わせで不運なことはこれまでにもありましたが、制度上の不公平が生じることには個人的に違和感があります。
デメリット③大会のレベルが下がる
以前の方式では予選で落ちていた国が参加することでワールドカップのレベルが下がると懸念されていますが、個人的には、まったく心配いらないと思います。
2018のロシアワールドカップでもイタリア、オランダ、アメリカ、チリが出場権を逃していてむしろこういったチームが予選で落ちるのは、残念です。
また、レベルの差も縮まってきていてロシアワールドカップでのFIFAランキング3位のベルギーとFIFAランキング61位だった日本代表の試合が面白くなかったという人は世界中にいないでしょう。
そしてサッカーはレベルが高いことと面白いことはあまり比例しません。
高校サッカーでも女子サッカーでも面白い試合は沢山ありますしチャンピョンズリーグでも眠くなる試合はありますからレベルの低下はまったく問題ないでしょう。
最後に
いかがでしたか?
今回は「カタールワールドカップ出場枠32→48!メリットとデメリットは?」と題して、カタールワールドカップが出場国枠を48に拡大するという報道を受けて、論点をまとめてみました。
カタールワールドカップが決まった際には汚職などが指摘され、カタールでは無理と報道されていましたが、共催でまとまるのであれば雨降って地固まることになりそうです。
なんとかワールドカップを成功させようとした結果として世界平和に貢献するということが面白いですね。
ワールドカップの本来の価値はこういった世界最大のスポーツイベントとしての社会的価値だと思いますから個人的には共催にも出場国拡大にも賛成です。
サッカーはサッカーが強い国だけのためにあるわけではないのです。