北海道コンサドーレ札幌を定点観測してきた経験を活かして、コンサドーレにいま何が起きているの かを解説していきます。
最後までご覧ください。
成績
24試合を終えて、10勝6分け8敗で勝ち点36の7位。
昨シーズンの同時期は勝ち点38なので、少し下回っている状況。
昨シーズンは最終順位が過去最高の4位だったので、今シーズンはそれを上回るところが目標といっ たところです。
チーム人件費ではJ1で12,13番目程度なので、7位は十分な結果といえるでしょう。
経営
2013年に収入はは10億円でしたが、2017年には26億円となっています。2018年には30億円なので8年で3倍となっています。
今シーズンは観客動員数が昨シーズンと比較して1試合あたり1000人が増加していて、収入増は継続しています。
2018年には8億円の増資を行い、さらなる成長への投資をしていて、経営的には攻めの姿勢に転換しています。
しかし、それ収入が増えた一方でそれ以上に支出が増えていて昨シーズンは過去最高の4位という結果を出しながらも1億6000万円の赤字決算。
赤字は6年ぶりとなります。
今シーズンも赤字になる可能性があり、3年連続赤字を出せばクラブライセンス制度との兼ね合いからJリーグ退会となるかもしれません。
今シーズンはなんとか黒字に持って行きたいですね。
ここ数年で取ってきたリスクを上回るリターンが得られないとチームは資金難に陥り再びJ2に戻ることになるでしょう。
強化
オフシーズンには岩崎悠人選手、鈴木武蔵選手、アンデルソンロペス選手、ルーカス・フェルナンデス選手、中野嘉大選手を獲得。
昨シーズンのエースストライカーの都倉賢選手を失いましたが、鈴木武蔵選手がその穴を見事に埋める活躍をしています。
しかし、予期せぬ都倉賢選手の流出によって鈴木武蔵選手を移籍金を支払って獲得したことで予算オーバーとなった感は否めません。
夏の移籍市場での獲得は無く、小野伸二選手がFC琉球に移籍。
中村洞爺選手、中原彰吾選手もシーズン途中で移籍をしていて、冬に出来た赤字を埋めている状況といえるでしょう。
J2降格の心配がほとんどない状態に夏までに持ってこれたからこそ取れる戦略で来季以降の負担の軽減が目的となっています。
チームが上手くいっているのは良いですが、結果を出し続けると中心選手の年俸が上がることが後々に重荷になってくる可能性もあるので、若手の育成で戦力をお金をかけずに底上げしておきたいですね。
現在チームの中心となっているキムミンテ選手、ク・ソンユン選手が韓国で兵役が近づいており、この二人の代わりを見つける必要が迫っていて決して安泰といえる状況ではありません。
保有人数が少ないですが、田中駿太選手、高嶺朋樹選手、金子拓郎選手が大学在学中ですが、2種登録でチームに帯同していて来季加入も決定しています。
とくに金子拓郎選手はカップ戦で得点も決めていてすでに戦力として計算できる存在で来季は新加入でいきなりレギュラー候補となるでしょう。
後半戦はこのように今シーズンに少しでも上の順位でフィニッシュすることよりも、来季へ向けた好材料を増やすことに重きを置いていますね。
また、白井康介選手、荒野拓磨選手といった中堅選手がレギュラーポジションを掴み、戦力の底上げが進んでいるのも今季の収穫の一つとなっています。
戦術
昨シーズンにミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任して、攻撃的なサッカーにかじを切ったコンサド ーレは得点数はリーグ4位と好調です。
シュート数が3位となっていてチャンスの数が多くなっています。
しかし、ポゼッション率は49%と平均の50%を下回っています。
攻撃的なサッカーを目指しながらもポゼッション率が50%を下回る理由は守備にあると思います。
インターセプト数が全体の14番目と少なく、前線からのプレッシングでボールを失った後に奪い返す部分が弱く相手にボールを持たせる時間が長くなってしまうわけですね。
ワントップのジェイ選手はベテラン選手で運動量が多くないですし、大柄な選手なので機動的に前線からのチェイスを仕掛けられるタイプではありませんからジェイ選手が怪我から復帰した中盤以降にポゼッション率が低下しています。
ポストプレーとヘディングシュートに特別な能力を持つジェイ選手に依存しない安定したビルドアップとフィニッシュまでの崩しの形ができると攻撃の幅が広がるでしょうし、守備面でも取れる戦法が増えます。
得点はチャナティップ選手、福森晃斗選手がいる左サイドで崩して右サイドでフィニッシュという形が多く、右シャドーには鈴木武蔵選手とアンデルソンロペス選手というフィニッシャーを置きます。
シャドーがゴール前に入る分右ウイングバックは孤立気味となるのでルーカス・フェルナンデス選手、白井康介選手といったドリブラータイプを重宝しています。
守備ではシーズン当初にボランチの宮澤裕樹選手をセンターバックで起用しましたが、身体能力に欠けるタイプでスピード、パワー負けが目立ちました。
中盤以降は昨シーズンのレギュラーだったキムミンテ選手がセンターバックに返り咲き、宮澤裕樹選手はボランチに戻っています。
全体が前がかりになった際の最終ラインでの守備に関してはキムミンテ選手の対人守備能力と守備範囲の広さに頼っている現状があるところが課題ですね。
被カウンター局面での守備に難があるのでボールロストを減らすことと守備へのすばやい切り替えでカウンターを受ける回数を減らしていく必要があります。
マンツーマン気味でマークを見ているので最終ラインで1対1となりやすく、この守備の構造的な弱点をカバーしているのがキムミンテ選手というわけです。
今シーズンの展望
現在7位のコンサドーレ札幌ですが、今シーズンは残り10試合となっています。
コンサドーレ札幌は終盤戦に強さを発揮するチームで例年この時期から状態が上がっていきます。
理由は雪のために練習場がオフシーズンにつかえないためにキャンプが長くなり、序盤戦は調子が上がらず、夏場はアウェーの暑さが北海道で生活していると堪えます。
序盤はキャンプで中盤は涼しい夏の気候のおかげで練習は厳しく行うことが出来るので、終盤戦に状態が上がってくるわけですね。
しかし好材料ばかりではありません。
選手の相次ぐ流出で紅白戦をするのも苦労するほどに保有人数が減っていてけが人が出ると選手層の面で厳しくなります。
中心選手として期待されていた駒井善成選手、アンデルソン・ロペス選手が怪我で長期離脱。
今シーズンの復帰は未定となっていて選手のやりくりには苦労するでしょう。
これ以上けが人が主力選手が出なければアジアチャンピョンズリーグ出場権が得られる3位以内でシーズンを終えることも十分可能な状況にいるといえます。
最後に
いかがでしたか?
今回は「北海道コンサドーレ札幌の2019シーズンの現在位置と今後への展望」についてまとめてみました。
ここ数年絶好調で経営的にも順位も右肩上がりでしたが、そろそろこの辺りで成長曲線は落ち着いてきたという印象です。
さらにチームの規模が大きくなるようにチームは投資を続けているものの、東南アジアへのプロモーションやWEBマーケティング、グッズ販売の強化など成果が出るまで時間がかかりそうです。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が退任した後が心配です。