【今週のサッカー】
2020年のJリーグにおける3つのポイントから有利に働くチームと不利に働くチームを予想していきます。
今回は2020年のJリーグにおける3つの変化(ポイント)から有利に働くチームと不利に働くチームを予想していきます。
3つの変化(ポイント)とは
2、東京オリンピックによる変則的なスケジュール
3、横浜Fマリノス優勝がもたらす戦術トレンドの変化
1.VAR導入
Jリーグは2020シーズンからビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)を導入することを発表。
VARが初めて採用された昨年のロシアワールドカップではいずれも歴代最多となる29本のPKが与えられ、22ゴールが生まれました。
またリーガ・エスパニョーラでも同様のケースが見られ、PKの数は113本から130本へ増加。結局リーグ全体の得点の10%強がPKによるものになりました。
なぜVARを導入するとPKが増加するのでしょうか?
サッカーの判定には2種類に分けることが出来ます。
正解がある判定と正解のない判定です。
オフサイドやゴールを割ったかどうかという判定は、VARでズームしたり、センサーを利用することでこれまで「微妙な判定」としか肉眼では見えなかったジャッジがテクノロジーによって白黒はっきりさせることが出来ますし、オフサイドに関してゴール数の増減はあまり変化がありません。
しかし、接触プレーにのファウルに関しては、これまで流されていたものの厳密に見ればファウルに該当するケースが多いので、PKの数は増えることになります。
また、東京オリンピックアジア予選で3試合すべてで日本代表はPKを貰っていることからも日常のJリーグでVAR対策をしておくことは東京オリンピック本番へ向けても重要ですしVAR対策は2020年のJリーグを占ううえでキーポイントとなるでしょう。
また、VARで見て、時間をかけて不満の残る判定が下ることの方がストレスが多く、イタリアセリエAではVARを導入した後の方が選手がレフェリーの判定に不服な態度を示して警告をもらう機会が増えています。
いくらテクノロジーを導入しても不満の残るジャッジは無くならなないというある種の諦めもサポーターには必要です。
VAR導入によって誤審が無くなるという事はとんでもない希望的観測であることが東京オリンピックアジア予選で分かったと思いますからVARに過剰な期待をするのは間違いです。
また、これらの観点からVAR導入によって得をするチームはペナルティーエリア進入回数が多いチームと予想できます。
偶発的な接触や、ユニフォームの引っ張りのようなこれまで見過ごされていたファウルをリプレイで厳密にみられるようになるので、ペナルティーエリア内に入ると何かが起きる可能性が高くなります。
2020年のペナルティーエリア進入回数1位は名古屋グランパスですが、風間八宏監督解任でサッカーが守備的に変化するので、ペナルティーエリア進入回数は今シーズンは減少するでしょう。
2位は横浜Fマリノス、3位タイは川崎フロンターレとヴィッセル神戸が同数。5位に北海道コンサドーレ札幌です。
また、ペナルティーキックを貰いやすいドリブルランキングでは1位に横浜Fマリノス、2位に北海道コンサドーレ札幌、3位にガンバ大阪で4位にヴィッセル神戸となっています。
逆に守備では、被攻撃回数が横浜Fマリノスは2番目に多く、北海道コンサドーレ札幌も4番目に多いです。
一方でヴィッセル神戸は14番目と少ないので、VARによってもっとも得をするのはヴィッセル神戸と推測できます。(データはいずれもfootballlab参照)
2、東京オリンピックによる変則的なスケジュール
Jリーグは昨年12月16日に、2020年シーズンに開催される各大会の日程や方式を発表。
2月8日に2019年シーズンのJ1王者・横浜と、第99回天皇杯の勝者で行なわれる「FUJI XEROX SUPER CUP 2020」を皮切りに、J1リーグは2月21日の金曜日に開幕し、最終節が12月5日に行なわれます。
東京五輪開催の影響もあり、J1は7月4、5日の第21節から8月14、15日の第22節まで1カ月以上の中断となって史上最も早い開幕となります。
このことによって、全体的に日程が過密スケジュールとなりますのでアジアチャンピョンズリーグ出場チームにとっては厳しいシーズンとなります。
とくにグループステージにストレートインする横浜Fマリノスとヴィッセル神戸よりもプレーオフがある鹿島アントラーズとFC東京の日程は厳しいですね。
また、前半戦は日程が詰まっていて、開幕が早いことから新監督が戦術を植え付ける時間が取りにくく、監督交代をした鹿島、湘南、仙台、清水は前半戦に勝ち点を取ることは難しくなるでしょう。
また、夏場に中断期間を迎えるので、夏場に弱い北海道コンサドーレ札幌、ベガルタ仙台にとってはプラスの要素があります。
逆に夏場に強いサンフレッチェ広島、FC東京にとってはマイナスな日程ですね。
というわけで2020年のJリーグの日程から北海道コンサドーレ札幌は得で鹿島アントラーズとFC東京は損をする可能性が高いといえるでしょう。
3、横浜Fマリノス優勝がもたらす戦術トレンドの変化
昨シーズン優勝した横浜Fマリノスの特徴は、横幅を大きく使った攻撃と高いポゼッション率にあります。
横浜Fマリノスを戦術的に見事に昨シーズン対策したのはセレッソ大阪。
5バックで最終ラインをゴール前に固めてロングカウンターを狙いました。
また、北海道コンサドーレ札幌はマンツーマンディフェンスによって高い位置からプレッシングを仕掛けて流動的なポゼッションスタイルを破壊する奇襲戦法に出ていましたが、ある程度は効果的でした。
ガンバ大阪はキャンプでハイプレスをテーマに設定していますし、5バックとハイプレスが今シーズンの戦術トレンドとなりそうですね。
どちらの方法を選択しても運動量が豊富なフォワードを用意する必要があります。
これらの戦術トレンドの変化で損をするのは当然、対策される側の横浜Fマリノスです。
また、ポゼッションスタイルに対しての対抗戦術の進化が進むのであれば、川崎フロンターレ、北海道コンサドーレ札幌、ヴィッセル神戸、ガンバ大阪、大分トリニータ、横浜FCにとってもマイナスな影響があるかもしれません。
守備戦術が今シーズンのテーマとなるならセレッソ大阪と名古屋グランパスは指揮官の力量が面白い存在となるでしょう。
まとめ
2020年のJ1はVAR導入、東京オリンピックによるスケジュールの変化、昨シーズンの横浜Fマリノス優勝がもたらす戦術トレンドの変化という3つのポイントから、得するチームと損するチームを推測してみました。
2020年のJリーグは昨シーズン優勝した横浜Fマリノスと天皇杯優勝のヴィッセル神戸はアジアチャンピョンズリーグと並行した戦いに不安を残しており、鹿島アントラーズは監督交代とアジアチャンピョンズリーグの過密日程が重なり、厳しいシーズンとなることが予想されます。
本命不在といえる2020年シーズンですが、ロティーナ監督就任2年目のセレッソ大阪に個人的には注目しています。
また、これまで放置していた守備面に本格的に着手するとコメントしているミシャ・ペトロヴィッチ監督就任3年目の北海道コンサドーレ札幌は苦手の夏場で中断期間があるメリットもあり、躍進が予想されます。
オフシーズンの移籍市場では浦和レッズ、湘南ベルマーレ、清水エスパルス、サガン鳥栖が負け組という印象ですが、若手選手にとってはチャンスですし、移籍市場で良くなかったからといって結果に直結するわけではありませんので、それほど悲観する必要はないでしょう。