南野拓実はリヴァプールFCで成功できるか?
リヴァプールFCが獲得した理由は?
リヴァプールFCは19日、ザルツブルクから日本代表FW南野拓実選手を獲得したことを発表 しました。
背番号は「18」に決定しています。
南野拓実選手はこれでクラブ史上初の日本人選手となり、イギリスの地元紙メディア 『リヴァプール・エコー』によると、契約解除金725万ポンド(約10億3000万円) を支払っての獲得となったようです。
デビューは早くて1月5日に行われるFAカップ3 回戦のエヴァートンとの“マージーサイド・ダービー”になるとのことです。
南野 拓実(みなみの たくみ・MINAMINO Takumi)
生年月日:1995年01月16日
身長/体重:174cm/68kg
FIFA開催大会出場歴:
FIFA U-17 World Cup Mexico 2011
Olympic Football Tournament 2016
経歴:ゼッセル熊取フットボールクラブ→セレッソ大阪U-15→セレッソ大阪U-18→セレッソ大阪→ザルツブルク(オーストリア)→※(内定)リヴァプールFC(イングランド)
リヴァプールFCが南野拓実選手を獲得した4つの理由
1、選手層の底上げ
リヴァプールFCは昨シーズンのヨーロッパチャンピョンズリーグで優勝しており、今シーズンは12月にクラブワールドカップを戦い、ヨーロッパチャンピョンズリーグ、プレミアリーグと合わせて3冠の獲得を狙っています。(FAカップもあります)
また、今シーズン終了後にはEURO(欧州選手権)があり、ヨーロッパの代表選手を多く抱えるリヴァプールFCにとっては、超過酷な日程。
また、今年の7月にはアフリカネーションズカップがあったのでダブルエースのモハメド・サラー選手、サディオ・マネ選手の疲労も心配されます。
以上のことから今シーズン、来シーズンのリヴァプールFCの選手は超過酷なスケジュールが待っていて、コンディション調整のために選手をローテーションしながら起用していく必要があります。
しかしながら、世界トップレベルのレギュラークラスの代わりが務まる選手は控えには少なく、サブメンバーのレベルは落ちます。
リヴァプールFCでレギュラークラスの選手を獲得するには、主力選手を放出しないと難しく、わざわざ空いていないポジションで一流選手は獲得できません。
そして、クロップ監督の下で3年目を迎えるリヴァプールFCは現在プレミアリーグ首位を独走していてレギュラーが固定化されているので選手の年俸はどんどん上がっていきます。
主力選手の残留に資金を必要とするために控え選手の層が薄くなっているのがリヴァプールFCの現在の弱点で、南野拓実選手は攻撃的なポジションなら複数のポジションをこなすことができる器用な選手なので、計算できる控え選手という位置づけでの獲得となります。
とくにワントップのフィルミーノ選手の代わりが出来る選手はリヴァプールFCにはいません。
フィルミーノ選手は、センターフォワードですが、トップ下のようなポジションをとって、サラー選手、マネ選手の両ウイングのダイアゴナル(斜め)ランを使うのが上手くて、中盤の選手なのかフォワードなのかよく分からないプレースタイルで代わりがなかなか見つからないですが、南野拓実選手は器用な選手なので、代わりが務まる可能性があります。
2、ライン間を使った攻撃パターンの構築
ユルゲン・クロップ監督はリヴァプールFCの前にはドルトムントFCの監督を務めていてドルトムントのブンデスリーガ連覇を果たして世界的名将としての地位を確立していきました。
そのドルトムントで大活躍したのが香川真司選手で、南野拓実選手は香川真司選手と同じ日本代表のトップ下を務めていてタイプも非常に近い二人。
クロップ監督は香川真司選手と同じトップ下の役割を求めている可能性もあります。
リヴァプールFCは4-3-3のフォーメーションを軸にしていますが、4-2-3-1システムで南野拓実選手をトップ下にする形もあり得ます。
実際にユルゲン・クロップ監督のハイプレス、ショートカウンターには勤勉で運動量豊富な日本人選手はハマりやすいうえに真ん中のポジションの選手は小回りが利くテクニシャンがいると攻撃にアクセントが生まれますので、香川真司選手と同様に南野拓実選手も相性は良く、真ん中で使うのがもっとも良さを活かせるわけです。
クロップ監督は
「タクミはとても速く、とても賢い選手だ。 ライン間のスペースを見 つけることができ、ボールがあってもなくても勇気を持った プレーができる。正しい チームプレイヤーだ。 他の選手のためにベストを尽くすことができる」
とコメントしていて、やはりライン間でのプレーを求めていますね。
リヴァプールFCはフィルミーノ選手がいないと途端にこのライン間でプレーできる選手がいなくなるので、ワントップのフィルミーノ選手の代役と新たな南野トップ下の布陣、攻撃的インサイドハーフとしての起用が考えられます。
3、費用対効果の高さ
南野拓実選手の移籍金は約10億3000万円と報じられていて、イギリスの新聞ではタダ同然。
奇跡的な安さと報じられています。
確かに香川真司選手がマンチェスターユナイテッドに移籍した際の移籍金が約30億円。
FCポルトが中島翔哉選手を獲得した移籍金が約25億円であったことを考えると、南野拓実選手の10億円は安いですね。
また、日本企業の日本ハムがリヴァプールFCのスポンサーになっていて、日本ハムが親会社であるセレッソ大阪出身の南野拓実選手の獲得を後押しした可能性もあります。
ユニフォームも日本で売れるでしょうし、日本でのテレビ放映権料もあるので10億円は実質タダのようなものといえるでしょう。
マーケティング要員といわれるかもしれませんが、リヴァプールFCに加入するくらいの選手は人気選手なので、加入したら経済的なメリットは生じます。
南野拓実選手だけが特別得をしているわけではないですが、アジア市場の大きさを考えると費用対効果が高い補強といえるでしょう。
4、直接対決で実力を証明した
南野拓実選手は今シーズンヨーロッパチャンピョンズリーグでリヴァプールFCと対戦しており2試合に出場して1ゴール1アシストを決めて印象的な活躍を残しています。
すでにリヴァプールFCの獲得リストに載っていたといわれている南野拓実選手の活躍にリヴァプールFCのキャプテンのジョーダン・ヘンダーソン選手と世界最強ディフェンダーのファンダイク選手が獲得を進言したとも英紙で伝えられていますね。
もともとリヴァプールFCの補強リストに名前があったとも報じられましたが、直接対決で実力を証明した結果、加入につながったともいえます。
森保一監督はしばらく南野拓実選手を日本代表に招集しなくて良い。
香川真司選手のマンチェスターユナイテッド、中田英寿選手のASローマ、長友佑都選手のインテルミラノ、本田圭佑選手のACミランに続く日本人選手のビッグクラブ移籍となりますが、名門クラブに行くことで出場機会を失って調子を落としパフォーマンスが悪化することも多かったですね。
成功したのは長友佑都選手ぐらいで、残りの3人はベンチを温める日々が続いて本来のパフォーマンスを見失っていきました。
森保一監督は移籍したばかりの選手を代表に招集することには気を遣うタイプでこれまでも招集をしなかった選手は複数いました。
しかし、南野拓実選手に関しては現在のA代表の中心選手なので話は変わってきます。
また、E―1選手権のテレビ視聴率が低調に終わったことからも、ビッグクラブであるリバプールFCに移籍した南野拓実選手は話題性があり、招集するようにいわれる可能性もあります。
しかし、2020年の6月まで行われるワールドカップアジア2次予選の突破をほぼ手中にしていて、今後も格下相手の事実上テストマッチのつまらない試合が続くであろうことは確実。
このことからもワールドカップアジア2次予選が終わるまでは、南野拓実選手を日本代表に招集する必要は無く、新天地での環境適応に集中させることが日本代表の強化にも長期的に繋がっていくと思います。
森保監督は得意の気遣いをマスコミではなく南野拓実選手に対して発揮して欲しいですね。
まとめ
リヴァプールFCで南野拓実選手が成功できるかどうかは、かなり難しいと思っています。
現在、世界最強といわれるチームには空いているポジションがないからです。
サブメンバーとして徐々に信頼を獲得していって長期的にレギュラーポジションを掴んでほしいですね。