森保ジャパン3バック導入の訳
3-6-1システム 5-4-1システム
6月のキリンチャレンジカップ2試合でついに3-6-1システムを導入した森保ジャパンですが、4バックが定着しているのにわざわざ3バックをやる必要があるのかという批判もあるようです。
「あくまでもオプション」と3バックの狙いを森保一監督は説明していますが、オプションとして3バックをなぜ導入する必要があるのでしょうか?
そこで、今回は3バックを導入する理由とメリットについてまとめてみましたので
最後までご覧ください!
3-6-1の特長
3-6-1システムは森保一監督がサンフレッチェ広島時代に得意としていたシステム。
森保一監督も「日本人選手に最も適している」と自信を持っています。
このシステムの特長は5レーンといわれるピッチを縦に5等分した際に出来る5つのレーンをワントップ、ツーシャドーと両ウイングバックですべて埋めることができるのが特徴。
攻撃面ではあらかじめ5レーンにポジションをとっているために、ポジションを動かさなくても所定の位置にいるだけでボールを前進させることができます。
守備ではボールを失った際に5レーンを押さえているので縦にボールを運ばれにくいというメリットがありますね。
押し込まれたときには5-4-1で守るためにゴール前を固めやすいです。
4バック相手には4対5と数的優位が高い位置でできるのも特徴。
一方でミドルゾーンでのプレッシャーがかかりにくいことと、押し込まれてからの陣地回復がしにくいというデメリットがあるのが3-6-1システムです。
また、森保一監督の3-6-1はゴールキーパーもビルドアップに参加させてフィールドプレーヤーが実質11対10となります。
ただし、ゴールキーパーをあまり高い位置まであげるとロングシュートを決められるリスクがあるので、ハーフウェイライン付近までボールが運ばれてからは、ボランチを1枚最終ラインに落としながらウイングバックを高い位置に押し上げて、両シャドーが中央寄りでワントップと3枚で連動します。
最前線3枚が近い距離間で中央付近でのワンタッチコンビネーションで最終ラインを打開することと、サイドの高い位置をとったウイングバックがボールを持ち、ディフェンダーの視野をサイドに限定してマークが付かないうちにクロスボールを供給することが主な攻撃パターンとなります。
この方式はサンフレッチェ広島で森保一監督が就任する前のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が編み出したのでミシャ式と呼ばれていて、世界的にも非常に珍しいですね。
ミシャ監督はサンフレッチェ広島、浦和レッズ、北海道コンサドーレ札幌で指揮を執っていて、ミシャ監督にコーチとして師事した森保氏、片野坂氏がサンフレッチェ広島、大分トリニータでのれん分けしたようなミシャ式アレンジを用いていてJリーグで成功を納めているので日本人に適したシステムであることは間違いないですね。
このやり方はポゼッションに優れ、サイドと最終ラインで数的優位ができるので、ボールを安定して前進できる一方で中盤が空洞化してカウンターリスクが高まるという特徴があり、現実的な森保一監督はデメリットであるカウンターリスクを警戒してボランチを落としてウイングバックを高い位置にすることには消極的。
そのため、このシステムの良いところをより得るためには、ボランチのカバーーエリアを広げることと、ワントップのプレッシングとポストプレーの向上が肝になるかと思います。
逃げ切り戦略
長友佑都選手は3バックシステムが「ベルギー戦であれば」と悔しがっていました。
ロシアワールドカップ決勝トーナメントのベルギー戦では、空中戦の強さを誇るフェライニ選手を投入して、小柄な長友佑都選手とマッチアップさせてパワープレー気味に攻撃を展開したことに耐えられなかったので、槙野智章選手を投入して3バックにしてフェライニ選手にマークに付かせて長友佑都選手は1列上げるという選択肢があり、コーチだった森保さんは西野監督に3バックを進言しなかったことをいまでも悔やんでいるといいます。
西野監督としては3バックを整備する時間がなかったので、システム変更はリスクが高いと考えたのでしょうが、裏目に出ましたね。
リードしている状態での残り10分の高さ対策として3バックを用意していなかったことが、敗戦に繋がったわけです。
この敗戦を糧にして早いタイミングで3バックを実践に使えるレベルに持って行こうというのは、当然の方向性だともいえますね。
システムを使い分けられる
ロシアワールドカップでも西野監督が就任して2週間は3バックで準備をしていました。
結局は4バックに戻しましたが、長谷部誠選手が最終ラインに降りて3バック化してビルドアップを安定させる形が機能したので3バック可変型の4バックだったといえますね。
3バックと4バックのどちらを使用しても、フィジカルコンタクトで劣勢の日本代表はポジションをずらしてボールを受けるほうが得意ですし、やりやすさを追求すると可変型システムになっていくと思いますから、3バックも4バックもどちらもやっておくことでスムーズに試合中に状況に応じた柔軟なやり方ができるようになるでしょう。
守備では相手のフォワードの枚数プラス1がセンターバックは守りやすいですし、攻撃では相手のセンターバックと同数のフォワードが攻めやすいというのが鉄則です。
アジアカップでは決勝でカタールは日本代表の4-4-2にあわせて相性が良い3-5-2で臨み、見事勝利しています。
日本代表は、試合中にシステム変更する柔軟性が無かったことが最後まで響いて敗戦に繋がりましたから、アジアカップの反省を活かして、3バックをものにしてもらいたいところ。
とくにアジア予選では日本代表をスカウティングして対策を練ってくるチームがほとんどなのでプランBは持っておくに越したことはありません。
選手適性に合わせた配置ができる
選手によって当然3-6-1に適している選手もいれば4-4-2(4-2-3-1)に適している選手もいます。
中島翔哉選手は明らかに4バックのサイドハーフ向きで、伊藤純也選手は3バックのウイングバックが向いているでしょう。
選手によって所属クラブで用いているシステムもばらばら!
好調な選手、武器になる選手を最も得意なポジションで起用するためにもシステムはいくつか持っておいたほうが良いですね。
世代交代
東京オリンピックを目指すU22日本代表は3-6-1システムをメインにしていて、すでにA代表よりも完成度が高いチームを作っています。
森保一監督が兼任していますし、オリンピック世代とA代表を融合させるうえでもA代表が3バックをオプションにしていくことは重要ですね。
3バックシステムに慣れていて、成長著しい若手選手の台頭が待ち遠しいです。
A代表とU22代表の混合チームで参加するコパアメリカが3バックシステムをA代表に根付かせる絶好の機会となるでしょう!
また、A代表で3バックをやっていれば、U22世代でA代表に選出されている堂安律選手、冨安健洋選手、久保建英選手、大迫敬介選手、中山雄太選手がオリンピック世代のチームにすぐに馴染めるようにするためにもA代表で3バックを導入しておくことは良いことだと思います。
最後に
いかがでしたか?「森保ジャパン!3バック導入の理由とメリット。システムの特長と戦略は?」は・・・・・。
4バックが良いか、3バックが良いかということではなくて、どちらのシステムも使えることが重要なので、今後も3バックシステムを継続して試していってもらいたいですね。
とくに森保一監督が率いたサンフレッチェ広島はJリーグ史上もっとも戦術の完成度が高かったという評価もあるので、期待したいですね。