【今週のサッカー】 新国立競技場オープニングゲームは天皇賞! 令和初代チャンピオンは「ヴィッセル神戸」!
天皇杯は国内外合わせてタイトル20冠を誇る常勝軍団鹿島アントラーズとクラブ創設25年目にして初タイトルに挑むヴィッセル神戸の対戦となりました。
新国立競技場は、改修後では初のスポーツイベント開催となりました。
この日のチケットは完売で5万7597人の観衆を集めています。
ヴィッセル神戸が2-0で勝利。
システムはヴィッセル神戸が3-4-2-1。
飯倉、ダンクレー、大崎、フェルメーレン、山口蛍、西、酒井高徳、イニエスタ、ポドルスキ、古橋、藤本。
鹿島アントラーズのシステムは4-4-2。
クォン・スンテ、ブエノ、犬飼、永木、町田、三竿、レオシルバ、名古、白崎、セルジーニョ、伊藤という布陣でスタート。
前半はヴィッセル神戸のペースで試合が進みます。
鹿島アントラーズの2トップに対して3バックでボールを回し、左の酒井高徳選手が高いポジションを取ることによって、鹿島アントラーズの右サイドハーフの名古選手に前線のプレッシングに参加するか、酒井高徳選手をマークするかの二択を選択させます。
前線のプレッシングに参加するとイニエスタ選手が最終ラインに降りて4対3の状況を作ります。
酒井高徳選手をマークすると、イニエスタ選手は左のハーフスペースでボールを引き出します。
鹿島アントラーズは4-4-2から前線のプレッシングで片方のサイドに追い込みマンツーマンに移行してボールを奪ってからのカウンターが得意パターンのチームですが、片方のサイドに追い込むための前線からのプレスが一切はまらないので、ヴィッセル神戸は楽にポゼッションしてゴール前までボールを運ぶことができていました。
同時に鹿島アントラーズのカウンターも発動させることを封じることに成功しています。
前半は藤本選手がこぼれ球を押し込み2点を決めて折り返します。
多少ラッキーもあったヴィッセル神戸ですが、試合を支配してゴール前でチャンスを作り続けた結果なので、前半はほぼ狙い通りのゲームができたと思います。
後半、鹿島アントラーズはシステムを3-4-2-1に変更。
ヴィッセル神戸とお同じシステムで嚙合わせることで前半の課題だった前線からのプレッシングを機能させる策に出ます。
このシステム変更は一定の効果を発揮し鹿島アントラーズは前線からマンツーマンでボールを奪いに行くことってヴィッセル神戸の得意のビルドアップを封じて、ゴールに迫ることに成功します。
しかしながら、システムを噛み合わせるという作戦は本来は守備的なアプローチのものであり、マッチアップすることによってマークする相手がはっきりするのでゴール前での守備でヴィッセル神戸としては守りやすくなったともいえるでしょう。
また鹿島アントラーズは代名詞ともいえる4-4-2システムを捨てたことで、敵陣に押し込めるようになったものの攻撃の崩しがうまくいかず、マッチアップするヴィッセル神戸の守備に対して個人能力で上回ることもなく、後半シュート5本に封じこまれ、試合はこのまま終了。
ヴィッセル神戸が2-0で勝利をおさめています。
完敗だった鹿島アントラーズ
前半は、4-4-2でミドルサードからプレスに行くことでコンパクトを維持しながらマンツーマン守備に移行していく鹿島アントラーズの得意の守備が完全に攻略されてしまっていました。
ヴィッセル神戸は3バックが大きく開いて、中盤とも一定の距離を保つことで鹿島アントラーズのツートップと中盤の守備の連携を断ち切っています。
ツートップの守備が積極的に行けば剥がされて、守備に行かなければ簡単にボールを運ばれてしまうという何をしてもうまくいかない状況となってしまっています。
これはヴィッセル神戸の4-4-2の守備に対してのポゼッションの仕組みが出来上がっていることと鹿島アントラーズのスカウティングが的確だったこと。
さらに距離感を広げてもボールをつなぐことができる選手の技術があって初めてできることです。
前半は戦術的な駆け引きに敗れて個人能力勝負に持ち込むために、鹿島アントラーズ伝統の4-4-2のフォーメーションを捨ててヴィッセル神戸のシステムに合わせましたが、個人能力でも勝つことができず、最後まで攻め手を書いたまま90分頃終わってしまいました。
前半は戦術で完敗し後半は個人能力で完敗するという試合で常勝軍団と言われた鹿島アントラーズにとっては、ダメージが大きい負け方となってしまいました。
鹿島アントラーズは、ブラジルから新しい監督を連れてきてこれまで25年間やり通してきたやり方を変えていくことも検討しているようですが、アジアチャンピオンズリーグのプレーオフにまわるこことになり、2020年は東京オリンピックの中断期間もあるので前半戦は戦術を落とし込むだけの時間はありません。
時間がない中で無理に新しいことにチャレンジしても空回りする可能性がありますし25年間変わらなかったやり方を変えることは容易ではありません。
親会社が住友金属からメルカリに変わって初めてのシーズンとなりますが、厳しい船出となることが予想できますね。
25年目にして初タイトル
ヴィッセル神戸はチーム創設初日に阪神淡路大震災を経験し、これまで大都市圏の神戸にありながらも J 2と J 1を行き来するエレベータークラブでした。
楽天の三木谷オーナーがチームを買収したことが転機となり資金力で jリーグナンバーワンのチームになるとイニエスタ選手を獲得するなど2018年から本格的にチームを強化することになります。
クラブはバルセロナ化を掲げてバルセロナとの提携関係となり下部組織からバルセロナOBのスタッフを呼んでチームフィロソフィーから変革を図っています。
ヴィッセル神戸のバルセロナ化はまだまだ道半ばですが、2019年シーズンは夏から指揮をとったフィンク監督がバルセロナ化という長期的な強化ビジョンと現有戦力とのバランスをうまくとった上でチームを軌道に乗せて後半戦の躍進につなげ、リーグ戦のコーチをそのまま天皇杯に持ち込み初タイトルを獲得しています。
これまで大物選手を獲得してきたものの、獲得しただけに終わってきたヴィッセル神戸ですが、今回はチームの育成やフロントまで変革していて、大胆な改革が結果に結びついたことは大きな自信となるでしょう。
また、これまで大きな資金力があっても勝てないチームが多かった jリーグの中で、明確なビジョンを持ったうえで投資を行えば結果につながるという前例ができたことも jリーグ全体に与える影響は大きい。
ヴィッセル神戸は観客動員数が右肩上がりで増えておりクラブの収入自体も大きく上がっているので、ただ楽天マネーだけで強くなったわけではなく確実に自力をつけています。
今回、アジアチャンピオンズリーグに出場することによって、 さらにクラブのブランド価値は高まり収入の増加につなげていくでしょう。
ヴィッセル神戸が今後 jリーグのビッグクラブとして定着していく可能性は高いと思います。
これまで30億円と言われていた J 1の平均強化費ですが現在は40億円となっており、 ヴィッセル神戸は90億円を超えています。
鹿島アントラーズは70億円で相変わらずリーグ上位につけていますがヴィッセル神戸とは大きな差があります。
今後 jリーグのタイトルを取ろうと思うなら100億円の予算を目指していく必要があるといえるでしょう。
まとめ
ヴィッセル神戸が天皇杯を優勝して初タイトルを取ったことで、 jリーグ100億円時代が到来したと言えるでしょう。
100億円の大台を目指すなら鹿島アントラーズといえどもこれまでのやり方ではダメということですね。
親会社がメルカリに代わってどう変化するのか楽しみです。