5月上旬に再開を目指すJリーグですが、ヴィッセル神戸の酒井高徳選手が新型コロナウイルスに感染するなど状況は好転していません。
一方で関東、関西の人口密集地以外では感染拡大はしておらず、Jリーグ再開は十分可能な状況になっています。
地域ごとの感染状況に応じて始められるところから再開する可能性もあります。
今回は、もうすでに記憶が遠くなったJリーグ開幕戦の結果と中断期間の動きからこれまでの各チームの状況をおさらいしてまとめてみました。
Jリーグ再開に向けて気持ちだけでも明るくなっていただけると幸いです。
北海道コンサドーレ札幌
初戦は4-2で柏レイソルに完敗した札幌はハイプレス、攻守の切り替えの速さに重きをおいて、さらなるレベルアップに挑んでいますが、ハイプレスの未熟さを露呈する形で大量失点を喫しています。
中断期間に行われた鹿島アントラーズとの試合では4-2で勝利。
徐々にハイプレスが形になってきています。
38歳のジェイ選手ではなくアンデルソンロペス選手をワントップで試しており、ハイプレスに適さないベテランのジェイ選手はスーパーサブとして起用されそうです。
鹿島アントラーズとの試合でもジェイ選手は後半途中から出場して2得点を決めていて、得点源として代えが利かないところを示しています。
また、練習試合の先発には大卒1年目の田中駿太選手、高嶺朋樹選手が並び、序列が崩れつつあります。
正守護神のク・ソンユン選手がバセドー病と判明、すでに練習に復帰しましたが、今シーズン予想される過密日程でフル稼働は難しそうです。
ベテランの菅野選手、タイ代表のカウィン選手がスタメンを狙います。
そして、明治大学体育会サッカー部所属の小柏剛選手の来季入団が内定し、すでに内定している法政大学中野小次郎選手とともに、大学ナンバーワンフォワードと大学ナンバーワンゴールキーパーを確保。
コンサドーレ札幌は27人と保有人数が少なく選手層が薄いですが、大卒加入1年目の選手と来季入団内定の大学4年生が優秀なので2種登録制度も利用しながらカバーすることは可能でしょう。
選手数の少なさと過密日程の問題は若手育成にプラスに働くかもしれません。
ベガルタ仙台
J1初戦は名古屋グランパスと1-1で引き分け。
守備に重きを置いて手堅いサッカーをしますが、攻撃陣がタレント不足なのが難点です。
チームの攻撃の中心として期待されていた元FCバルセロナのクエンカ選手は怪我で離脱中。
しかし、2年前のエースストライカー西村拓真選手が期限付き移籍で加入しており、中断明けはクエンカ選手と西村拓真選手が攻撃陣に加わると大幅な戦力アップが期待できます。
昨シーズンのアシストキング永戸勝也選手が鹿島アントラーズに移籍した穴を埋めきれておらず、左サイドバックに難がある問題を解消できるかが課題です。
鹿島アントラーズ
Jリーグ初戦では0-3でサンフレッチェ広島に完敗。
伝統のスタイルを捨ててポゼッションサッカーにチャレンジしていますが、まだまだ完成には程遠い様子です。
中断期間もコンサドーレ札幌と練習試合を行って2-4で敗戦。
攻撃時に両サイドバックを高い位置でプレーさせる戦術で攻撃の形はできていますが、それ以上に守備面でのリスクが大きく、実質2バックになっている状態でカウンターアタックから失点する機会が増えています。
また、ポゼッションサッカーをするにはゴールキーパーがビルドアップに関与することは必須ですが、それができていないので簡単にプレッシングを嵌められてしまいカウンターアタックを受けてしまっています。
新加入のアラーノ選手とエヴェラウド選手は能力の高さを見せているだけに今後に期待したいですね。
今シーズン、アジアチャンピョンズリーグをプレーオフで敗退したことは間違いなくプラスでJリーグは降格もないので思う存分戦術的に実験的な試みができるでしょう。
柏レイソル
開幕戦で4-2でコンサドーレ札幌に大勝。
ツーゴールのオルンガ選手は昨シーズン同様に大暴れしそうです。
柏レイソルの弱点はハイラインを保てないところでセンターバックにスピードが不足しており、前線のオルンガ選手、クリスティーノ選手も守備面に不安があり、ファーストディフェンスが決まらなくなると全体が下がってしまい自陣に釘付けになる癖があります、クリスティアーノ選手とオルンガ選手の個人能力があればカウンターアタックでこの問題をJ2では解決してきましたが、J1だと上位を狙ううえでは課題となってくるでしょう。
過密日程を乗り切る選手層は万全ですが、昨シーズンから完成されたチームで序盤戦に勝ち点を稼ぎたかった柏レイソルはこの中断期間はもったいないですね。
FC東京
開幕戦で清水エスパルスに3-1で勝利したFC東京は、永井謙佑選手の怪我を逆手にとって4-3-3システムに着手。
4-4-2の堅守速攻型と4-3-3のハイプレスショートカウンター型の2つのオプションができてきています。
法政大学から加入した紺野 和也選手は切れ味鋭いドリブルと左足のキックに定評があり、久保建英選手の穴を埋める期待がかかります。
また、鹿島アントラーズからレアンドロ選手、ジュビロ磐田からアダイウトン選手と日本で経験豊富なブラジル人選手はすでにチームにフィットしています。
中断期間を経て永井謙佑選手が復帰すると、二つのシステムを使い分けることができますし、選手層の厚さも十分で不安要素はありません。
川崎フロンターレ
開幕戦でサガン鳥栖に引き分けた川崎フロンターレは中村憲剛選手の長期離脱が逆にチーム戦術のアップデートに好都合で、これまで戦術理解度の高い中村憲剛選手に頼っていた部分をチーム全体で共有してバランスの良いサッカーを展開しています。
システムも4-3-3に変更して田中碧選手、大島僚太選手、守田英正選手など中盤のゲームメーカーの豊富な陣容の良さを活かすことに成功。
また、ワントップにすることでレアンドロ・ダミアン選手が輝きを増しています。
とくにヨーロッパサッカーで流行りの5レーン理論やポジショナルプレーと呼ばれるサッカースタイルを取り込んでいて、さらなる川崎フロンターレスタイルのレベルアップに挑んでいます。
これまでの川崎フロンターレは選手が近い距離感でテンポの良いパスワークを武器にしていましたが、ウイングが横幅を取り、相手の守備陣を一度広げてから中央のインサイドハーフが攻撃に加わり崩しの局面に顔を出す形が増えています。
三苫薫選手、旗手玲央選手、山根視来選手、脇坂泰斗選手ら若手選手の活躍ぶりも目覚ましいものがあり、過密日程の中で出場機会を多くの選手が得て世代交代が一気に進むのではないでしょうか。
ちなみに川崎フロンターレが保有権を持っていた三好康児選手はベルギーリーグのアントワーブに完全移籍が決定しました。
移籍金と育成費合わせて2億円程度は入ってくるでしょうから、今シーズンのコロナ問題での赤字は補填できるのではないでしょうか。
最後に
新型コロナウイルスとの戦いはワクチンができるまで1年以上かかるといわれていて、長期戦が予想されます。
Jリーグができることはウイルスとの上手い付き合い方を示すことです。
すべて外出禁止などしていたら感染者数は減少させることが一時的にできますが、社会経済活動が止まってしまい、他の部分で副作用が大きくなってしまいます。
感染リスクを極力下げながら日常生活を取り戻すためにどのような対策が必要かというお手本を示してほしいですし、批判をおそれずJリーグを再開させてほしいです。
応援スタイルを変えるなどサポーターとともに協力できるとサッカー観戦のリスクはさほど大きくありません。