前回に続いてJ1クラブの開幕戦と中断期間の情報、今後の展望などをまとめていきます。
Jリーグ再開を信じて、もう忘れてる人も多いであろう今シーズンのJ1クラブの情報をおさらいしていきます。
Jリーグ再開に向けて気持ちだけでも明るくなっていただけると幸いです。
浦和レッズ
浦和レッズは、昨シーズン不完全に終わった4-4-2への変更を今シーズンは中断期間で詰めていくことができるはずです。
開幕戦は湘南ベルマーレに3-2で勝利しましたが、好運もあり内容的に上回っていたとはいえません。
アルビレックス新潟から新加入のレオナルド選手が開幕から評価が高く、武藤雄樹選手が怪我から復帰。
興梠慎三選手は軸ですが、2トップの相方争いは熾烈を極めています。
ファブリシオ選手、杉本建勇選手も含めたポジション争奪戦となるでしょう。
浦和レッズのボトルネックは、4-4-2システムでハイプレス戦術を志向していることでしょう。
前線の2枚が相手センターバックにプレッシングに行くと、中盤の中央でボランチ2枚しかいない状況になりがちですから、4-4-2とハイプレスは相性が悪いです。
しかし、FCバルセロナはサイドハーフにビダル選手、フランス代表のマキュイディ選手と本来ボランチの選手を起用して3人目のボランチとして中央をカバーさせることで、この問題を解決しています。
浦和レッズは長澤和輝選がサイドハーフに挑戦していますが、この役割にぴったりの選手です。
日本代表森保監督も井手口陽介選手をサイドハーフに起用していて、3人目のボランチとしてサイドハーフを使う方法を模索していています、長澤和輝選手がこの役割をものにすると日本代表にも大きなプラスになるかもしれません。
横浜Fマリノス
昨シーズンの年間王者横浜Fマリノスは、各クラブが研究してきています。
ゼロックススーパーカップではヴィッセル神戸、開幕戦ではガンバ大阪が横浜Fマリノスのビルドアップをかなりの精度で阻害してきています。
ガンバ大阪はハイプレスからミスを誘い得点を誘発しました。
このような状況で活きてくるのが今シーズン新加入のオナイウ阿道選手。
ロングボールを収める能力と、スピードがあるので相手がハイプレスでくるとディフェンスの背後にロングボールを放り込むプランBも用意できます。
センターバックの要であるチアゴマルチンス選手と畠中進之介選手が怪我で離脱中ですが、リーグ中断期間なのはラッキーです。
対策はされるでしょうが、今シーズンも横浜Fマリノスが一歩抜けた存在なのは変わらないと思います。
湘南ベルマーレ
開幕戦では浦和レッズ相手に内容では上回るも決定力不足が露呈して敗戦しています。
浮嶋新監督は、ハードワークがベースの湘南スタイルをより効率的でバランス良くアップデートする方向で強化を進めていると思います。
全体の配置バランスが良く、ポゼッション率も高く落ち着いたサッカーを展開できている印象です。
しかし、良いポジションにいる選手が1対1で負けると穴が大きくなり、ボール保持が安定すると攻撃に時間がかかり、決定力が落ちるというのがネックになりそうです。
個人能力で得点をこじ開けられそうなのは、
岩崎悠人選手のスピード、タリク選手の高さ、三幸秀稔選手のパスセンス、山田直樹選手、石原直樹選手のポジショニングセンスでしょうか。
攻撃陣は二桁取りそうなストライカーはいませんが、面白い選手は多いので良い組み合わせを見つけることができると得点力は上がっていくでしょう。
ただ攻撃で人数を割いてコンビネーションを使って崩そうとすると後方の3バックの守備範囲と対人守備能力が心配となります。
資金力があるチームではないので仕方がないですが、攻守においてタレント不足は否めません。
斎藤美月選手、鈴木冬一選手など若手選手が多いので、成長に期待ですね。
清水エスパルス
新監督に昨シーズン横浜Fマリノスのコーチを務めたクラモフスキー氏を就任させ、スタイルの大幅転換を図っている清水エスパルスですが、4-3-3と3-4-3を使い分ける戦術がすでにある程度浸透しており、指揮官の手腕の高さが伺えます。
開幕戦は敗戦しましたが、ヨーロッパでトレンドとなっているポジショナルプレーができてきていますし、今シーズン降格がなくなったことで戦術浸透に徹することができるのも好都合です。
中断期間での練習試合ではジュビロ磐田に勝利。
18歳のセンターバックのノリエガ・エリック選手、20歳の西村恭史選手は将来有望だと思いました。
今シーズン上位進出を狙う必要は無いと思いますが、欲を言えばウイングにドリブルで1人剥がすことができる選手がいると攻撃の幅は広がると思います。
新加入のカルリーニョス・ジュニオ選手は市場価値は3億円でまだ起用法は定まったいませんが、この選手がハマると上位進出もありえるでしょう。
また、攻撃的なチームなので守備陣の個人能力が重要になりますが、清水エスパルスユース育ちの立田雄吾選手の才能の開花に期待したいですね。
大きくて速い身体能力の持ち主で、クラモフスキー監督の下でビルドアップ能力を高めて経験値を積めば冨安健洋選手に匹敵するセンターバックになれる素質があります。
名古屋グランパス
開幕戦はベガルタ仙台を相手に引き分けスタートでしたが、新加入の阿部浩之選手を中心にした攻撃陣は機能していて、エースのジョー選手不在を感じさせない破壊力がありました。
フィッカデンティ監督が就任して2年目で守備戦術もイタリア人監督らしく整備されてきていてチームの安定感は増しています。
昨シーズンの中心だったガブリエル・シャビエル選手、シミッチ選手は開幕戦はベンチスタートで、熾烈なポジション争いが繰り広げられています。
このあたりの選手層の厚さも、今後過密日程が想像される今シーズンのJリーグではプラスに働くでしょう。
稲垣祥選手、山崎亮吾選手も新加入でチーム貢献度が高い二人ですから、名古屋はより隙の無いチームに生まれ変わった印象を受けます。
フィッカデンティ監督は、ビルドアップを整備するのが得意ではない印象なのでハイプレスを仕掛けられたときの解決策を見つけていくのが課題かなと思います。
また、高い位置でボールを奪うことも得意ではないので、今シーズンのJリーグのトレンドであるハイプレス&ハイポゼッションに対してどのようにイタリア流の戦術的アプローチで解決していくのか楽しみですね。
最後に
5チームの状況についておさらいしてみました。
今週のJリーグの大きな動きとして北海道コンサドーレ札幌の選手会が年俸の削減をクラブに申し出ました。
選手総年俸は約9億円で1億円程度の減額を申し出たそうです。
金銭的余裕があるクラブで同じことをする必要はないですし、年俸をそのままもらうこともプロ選手としてまったく悪いことではありませんから、こればかりは正解がない決断です。
しかし、このまま試合ができない状況が続くと、選手から、クラブから問わず苦渋の決断をせざるを得ない状況となるところは増えるでしょう。
また、野球の日本ハムファイターズはクラウドファンディングで今シーズンの予算を集める方針があるそうですが、Jリーグのクラブも参考になるでしょうし、試合を見るだけがサポーターの支援の仕方ではないです。
野球もサッカーも試合が出来るに越したことはないですが、とにかく今年はまずクラブが潰れないことを目標にしてほしいです。