前回に続いてJ1クラブの開幕戦と中断期間の情報、今後の展望などをまとめていきます。
Jリーグ再開は8月という情報まで出ていますが、再開からJリーグを思い切り楽しむための予備知識として今シーズンの各クラブの情報をおさらいしていきます。
7月再開なら、週2度リーグ戦を実施して代表活動中もリーグ戦やルヴァン杯をこなせば、なんとか年内に日程を消化できる可能性があるが、8月再開となると、リーグ戦の規模縮小など、大幅に日程をいじる必要があるとのことです。
暗いニュースが多いですが、頭の中では自粛せずにサッカーを楽しみましょう!
横浜FC
昨シーズンJ2で2位となって昇格した横浜FCは初戦アウェーでヴィッセル神戸に1-1で引き分け。
下平監督は優秀で組織的な守備力と、ビルドアップはJ1でも十分通用するでしょう。
サイドトゥサイドのビルドアップでも中央に手塚康平選手、中村俊輔選手、レアンドロ・ドミンゲス選手など起点になることができる選手を保有しているので、捕まりにくいビルドアップができています。
サイドの高い位置までボールを運ぶと左サイドの松尾祐介選手のドリブルに加えて水戸ホーリーホックから加入した攻撃的サイドバックの志知考明選手がオーバーラップする左サイドの攻撃には迫力があります。
弱点はセンターバックの層の薄さでカルフィン・ヨンアピン選手、伊野波雅彦選手のベテランコンビが組みます。
ヴィッセル神戸から期限付き移籍してきた小林友希選手に期待がかかりますが、まだ20歳で経験不足は否めません。
中盤は選手層が厚く斎藤光毅選手、斎藤功佑選手のユース出身の若手コンビもチームの将来を背負う逸材ですので注目したいですね。
また、センターフォワードは皆川祐介選手、イバ選手、一美和成選手がポジションを争いますが、イバ選手は年齢的にフル稼働が難しく、皆川選手は安定したポストプレーで貢献度は高いものの、決定力は低い。
一美和成選手がガンバ大阪から期限付き移籍で加入しましたが、昨シーズンJ2で二桁得点を決めていますがJ1では未知数。
エースストライカーが定まらない状況は、あまり良くないですね。
とはいえ、今シーズンは降格がないですし、過密日程で順位よりも元気を与えることの比重が高まるでしょうから、三浦知良選手、中村俊輔選手、松井大輔選手などネームバリューがあるベテラン選手の出番が増えるでしょうし、とくにカズに1点でも良いので決めて欲しいです。
松尾祐介選手、斎藤光毅選手は今すぐにでもヨーロッパクラブに引き抜かれるだけの能力がある若手選手ですが、ヨーロッパクラブは新型コロナウイルスの影響でしばらくは動けないでしょうし、移籍するのも躊躇するでしょう。
これまでの流れならあと1年程度活躍して海外へという若手選手が長く在籍して活躍する可能性が大きくなったことは、クラブにとっては悲観的なことではありません。
横浜FCが心配なのは、Jリーグが再開したとしても、密集を避けるためにスタジアム収容率が50%~25%以下で前後左右は空席にする計画であることです。
横浜Fマリノスのような8万人収容の日産スタジアムでは、普段から収容率は低いですが、収容人1万5000人の三ツ沢競技場のような小規模スタジアムでは、5000人程度しかチケットを販売できません。
せっかくJ1に昇格しましたが経営的には大きな打撃を受けることは間違いないです。
ヴィッセル神戸
開幕戦では、横浜FCに1-1で引き分けたヴィッセル神戸は、親会社の楽天は自粛効果でネットショッピング事業が好調でJクラブで唯一お金の心配がないクラブでもあります。
チーム保有人数は27人の少数精鋭ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で過密日程が予想される今シーズンは人数が少ないのはマイナスに働くでしょう。
夏の移籍市場では、経営が傾いているチームから補強を敢行することも予想できます。
ヴィッセル神戸は、昨シーズンは3バックがメインでしたが、今シーズンは4バックも使用しています。
センターバックは、フェルマーレン選手、ダンクレー選手、大崎玲央選手がレギュラークラスですがサブは心許ないです。
レノファ山口で昨シーズンJ2ベストセンターバックともいえる活躍をした23歳の菊地流帆選手に期待がかかります。
菊地流帆選手は、身体能力が非常に高く、戦術理解とビルドアップ能力がヴィッセル神戸の基準に達すると大きな戦力となるでしょうし、ディフェンダーに外国人枠を2つ使う必要が無くなります。
サイドバックは右に西大伍選手、左に酒井高徳選手がいて両サイドに代表クラスを揃えています。
酒井高徳選手は新型コロナウイルスから順調に回復して症状は無くなったとのことで一安心。
しかし、サブの選手層は薄く、初瀬亮選手、藤谷壮選手の若手コンビの台頭が待たれます。
今シーズンは、過密日程となるでしょうから、出場機会は与えられるでしょうし、この二人の成長は長期的にチームの浮沈を左右します。
潜在能力は高い二人なので期待したいですね。
中盤は、山口蛍選手、サンペール選手、イニエスタ選手の3人の代わりになれる選手が不在でサブ組とは大きな差があるといえます。
オフには川崎フロンターレの大島僚太選手獲得に動いていたと報じられていましたが、川崎フロンターレの中盤は人材豊富で代表クラスがサブに甘んじている状況なので夏の移籍市場では狙い目かもしれません。
フォワードは、ルーカス・ポドルスキ選手が退団しビジャ選手が引退しましたが、ドウグラス選手がエースストライカーにふさわしい活躍を見せていて、イニエスタ選手との相性も良く攻撃の軸となるでしょう。
また、天皇杯決勝で2得点を決めた藤本憲明選手、日本代表に定着しつつある古橋享吾選手に加えてベテランの田中順也選手、ユース出身で昨シーズン急成長した小川慶治郎選手がレギュラーポジションを狙います。
新加入の18歳の小田祐太郎選手は評価が高い新人ですが、なかなか出番は巡ってこないでしょう。
攻撃陣の選手層は厚く、中盤、守備陣の手薄さと比べてバランスの悪い編成となっています。
スタメンの平均年齢は30歳で、若手の台頭が課題のヴィッセル神戸にとっては、今シーズンの過密日程でサブ組を起用せざるを得ない状況は悪くないといえますが、ボランチと左利きのセンターバックに中堅、若手選手が居ないので、この二つのポジションは補強の必要があります。
新型コロナウイルスの被害が大きいベルギーリーグでは経営破綻寸前のクラブが増えていて、ベフェレンの小林佑希選手、スポルティング・ロケレンの天野純選手は移籍先を探しているとの報道がありますから狙い目ですね。
センターバックは、ファイナンシャルフェアプレー制度に抵触して大幅な経営改善を迫られているマンチェスターシティの板倉滉選手が狙い目かもしれません。
横浜FCに期限付き移籍させた小林友希選手が出場機会が少ないようなら戻すのも良いかもしれませんね。
今シーズンは、各クラブ財政事情が大変ですが、移籍市場をにぎわせる可能性があるのはヴィッセル神戸だけ。
新型コロナウイルスの被害は日本よりヨーロッパの方が大きいので、ヨーロッパのビッグネームや海外で活躍する代表クラスの選手を逆輸入して一気に他クラブと差をつけるチャンスかもしれませんね。
最後に
Jリーグの再開予定時期がどんどん遠のいていきますが、ヨーロッパやアメリカの惨状を見ているとスポーツどころではない事態が起きていることは間違いありません。
世界で最も人気があるサッカーはグローバルに人がつながることができることに価値があったわけですが、いまはそれ自体がリスクになってしまっています。
しかし、人類がウイルスを克服して、もとの国際社会を取り戻すときにはサッカーの力が必要になる時がくるでしょう。
その時まで、日本でサッカーという文化を守ることがいま、私たちにできることなのかもしれません。