2月末から中断していたJリーグは政府の緊急事態宣言解除を受けて6月27日か7月4日の再始動に向けて動きだしています。約4か月の中断期間を埋めるためには今後の過密日程が避けられない中で、どのように試合日程を消化していくのか現時点で明らかになっているJリーグ再開へのマイルストーンを紹介していきます。
Jリーグ開催時の感染予防策
JリーグとNPBが連携する「第8回新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、具体的な再開へのガイドラインが専門家から示されています。
・全国的な緊急事態宣言の解除後に、選手の負担軽減を考慮した試合日程を構築
・チームで移動時のマスク着用の徹底や、遠征時における不要不急の外出の自粛
・試合開催にあたっては選手やスタッフの事前検査を行う体制を作る
・当面は無観客試合での開催となり、流行時は再延期を検討する
この4つがJリーグを再開するうえクリアしなければならない条件です。
選手やスタッフの事前検査がもっとも高いハードルですが、6月から承認される抗原検査の採用を村井チェアマンは、示唆しています。
PCR検査のキャパシティが逼迫している事を考えると、抗原検査が広く実用化できる医療体制になることが7月再開への必要条件といえます。
また 選手はベンチ入りメンバー18人に2人を加えた20人が上限。チームスタッフは監督とコーチ、通訳、ドクターなどベンチに入る7人に主務、トレーナーなど5人を加えた12人が上限と規定されました。審判員、ボールパーソン、公式映像、記録員なども人数が制限され、スタジアム来場人数はJ1で合計最大330~340人程度になる見通し。
ウオーミングアップやプレーする選手、審判員、ベンチ前のテクニカルエリアにいる監督を除く来場者にマスク着用が義務付けられ、体温が37・5度を超えている場合は入場禁止となる。
握手やハイタッチ、ユニホーム交換、円陣は禁止。先発と控えでロッカールームを分け、試合前の集合写真撮影は選手間の距離を1・5メートル空ける。ベンチではマスクを着け、1席ずつ空けて着席。試合終了後はピッチ中央に集まらず、そのまま控室へ戻るなどが試合開催のガイドラインとなっています。
スタジアム内の衛生管理も徹底され、トイレに使い捨ての紙タオルを設置したり、控室を消毒したりすることに加え、ロッカールームのドアを開けた状態に保つことなどが例示されています。
ブンデスリーガでは、ボールボーイから直接ボールを渡さず消毒したボールをタッチライン沿いに置き、スローインで再開させています。
ベンチメンバー、監督以外のスタッフはマスクを着けて離れて椅子に座るなど感染予防対策がとられていてブンデスリーガの取り組みは参考になるところは多いでしょう。
地域別3ブロック分割案
Jリーグはこのガイドラインを受けて、地域別に3ブロックに分けて当面の試合開催を行い移動時の感染リスクを低くするプランを立てています。
グループ1
北海道コンサドーレ札幌、ベガルタ仙台、鹿島アントラーズ、浦和レッズ、柏レイソル、FC東京
グループ2
川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、横浜FC、湘南ベルマーレ、清水エスパルス、名古屋グランパス
グループ3
ガンバ大阪、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、サンフレッチェ広島、サガン鳥栖、大分トリニータ
と地域別にまとめ、再開後当面のカードはそのブロック内で組んでいく方式になっています。
移動時の感染リスクを考慮してのプランです。
ブンデスリーガではアウェーチームもホームチームもスタジアムに自家用車で現地入りして現地解散でチーム移動での集団感染のリスクを避けていますが、日本では海を隔てて移動する必要があるので、地域別にしても飛行機移動が発生するのはやむを得ないですね。
ルヴァンカップも近隣チーム対戦方式へ
リーグ再開が近隣カード中心の見通しになったことで、ルヴァン杯も仕切り直しになります。
ルヴァンカップは既に1試合消化していますが、この日の実行委員会では近隣クラブの3チームで5グループに分け、既に消化した1試合と2試合の1次リーグ3試合でグループで上位1位とアジア・チャンピオンズリーグ出場3クラブが決勝トーナメントに進出する方針です。
日程の短縮によってJリーグの開催期間を確保することができます。
日本代表と日程が重なってもJリーグは開催へ
現時点で国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際試合のスケジュールは白紙ですが、国際Aマッチデーが設定されて、日本代表の強化試合が開催されても、Jリーグの開催は中断しないことが決定しました。
通常は、日本代表の活動期間中は代表選手が不在となるクラブが不公平にならないように、リーグ戦も中断していますが、今季に限ってはJリーグも実施する方針で代表選手が多いチームにとってはハンディキャップとなります。日本代表の強化にあたっても夏場に海外組を国内で強化合宿を行い、東京オリンピック世代の日本代表と強化試合を行うプランもあるようです。
海外組もヨーロッパで日程が狂ってしまっていることから予定通りに招集できる可能性も高くないですし、今シーズンは国際Aマッチの開催は難しいと考えられます。
日本代表とJリーグが重なった場合に生じる問題については現時点でそこまで重く見るほどの深刻さはありません。
もし、日本代表強化試合が今シーズン開催されるなら、海外組でレギュラーポジションを確保できていない堂安律選手、板倉滉選手、南野拓実選手、中島翔哉選手、植田直通選手、中山雄太選手、前田大然選手、権田修一選手、中村敬斗選手、菅原由勢選手あたりはアピールのチャンスです。
東京オリンピック監督契約更新は保留
東京オリンピック日本代表監督は開催が不透明なままであることと、A代表との兼任が可能かどうかスケジュールが出てみないとわからないことから森保監督の東京オリンピック監督契約延長を保留しています。
JFAが保留という柔軟な対応を取ることができるのは森保監督がA代表と兼任で他のクラブと契約するリスクがないからです。
また、A代表の今年の強化試合は組まれる可能性が低くどこの国でもチーム作りは進まないとみられます。
このような状況では、制約が多い中でそれなりの形に持って行くことができる監督が適任で、森保監督は日本人監督でA代表、U23を兼任で担当していることから臨機応変に対応できるという意味で結果的には適任だったかもしれません。
外国人監督なら途中で帰国したり戦術の浸透を図る時間がない可能性がありました。
森保監督はなにも新しい戦術を導入していないので、強化試合を組めなくてもさほど問題はないでしょう。
さいごに
新型コロナウイルス問題で予定がすべて狂った日本サッカー界ですが、再開の目途が立ってきたことで、黙って時間が過ぎるのを待っている段階ではなくなりました。
もう今シーズンは順位争いよりも、どのクラブもつぶれないことや地域の社会、経済活動を促進して日常を取り戻すための役割を果たすことがJリーグの大きな目的になると思います。
どのチームのサポーターも多少の不公平さは目をつむって、サッカーを楽しんでほしいと思います。
過密日程で若手の出場機会も増えるのは間違いないので、おすすめの若手選手を探してみるのも楽しいでしょう。
個人的には横浜FCの松尾祐介選手に注目してます。
松尾佑介(マツオ ユウスケ)
■背番号:37
■ポジション:MF
■生年月日:1997-07-23(23歳)
■身長/体重:170cm/65kg
■出身:埼玉県
■経歴=戸塚フットボールジュニアクラブ→浦和レッズU-15-浦和レッズU-18→仙台大
▼2019年横浜FC特別指定選手(背番号は37)
▼2020年横浜FC入団
■入団の抱負
これまで支えていただいた方々に恩返しをすると同時に横浜FCのファン・サポーターの皆様と多くの喜びを共にできるように努力していきます。
参考に