前回に続いてJ1クラブの開幕戦と中断期間の情報、今後の展望などをまとめていきます。
新型コロナウイルスの影響で日程変更を余儀なくされているJリーグは6月までは再開しない方針で9月と10月の再開シミュレーションも伝えられています。
天皇杯からJリーグクラブの参加は1位、2位クラブがベスト4から参加する方針に変わりました。
アマチュアクラブが優勝するチャンスで、これはこれで面白いかもしれません。
また、過密日程を考慮して1試合5人交代制が議論されています。
アジアチャンピョンズリーグは当然再開の目途が立っておらず、韓国Kリーグが無観客で5月に開催できる予定とのことで、他の国は中止しています。
日本の新型コロナウイルス感染者数は減少に転じていることから、無観客ならゴールデンウイーク明けから開催可能だと思います。
Jリーグは300億円の融資枠を確保しており、残り1090試合をすべて開催できないリスクが高まってきてDAZN Groupとの契約を踏まえて、最悪のシミュレーションを想定して放映権収入200億円が入ってこない可能性と各チームの救済資金を確保しています。
それでは、1試合5人交代制度についてとセレッソ大阪について、開幕から現在までの状況を考えていきます。
FIFAが提唱する1試合5人交代制度
W杯では1966年大会から2人交代制が始まり、それ以前は交代は認められていませんでした。
1995年に現在と同じ3人までの交代が可能になります。
日本がワールドカップに初参加したのは1998年フランス大会からですから3人交代制が当たり前に感じてしまいますが、長期的には交代人数は時代によって変わるもので増加傾向にあります。
また、近年のサッカーはGPSで選手の走行距離を測ることが当たり前となり、フィールドプレーヤーが1試合10キロ以上走ることが当たり前となりました。
1試合の選手の負荷は大きくなってきたことで、交代人数の増加は以前から議論されてきました。
新型コロナウイルスの影響で世界中でサッカーの日程がストップし、再開後は超過密日程が予想されるため、このタイミングで5人交代に変更するアイデアが急速に現実味を帯びています。
Jリーグとしても、過密日程が待っていますし、今シーズンは降格をなしにして、公平性よりも試合数の消化に重きを置いています。
FIFAが5人交代制に向かっていることは渡りに船といったところで、ナビスコカップ限定での導入かJリーグでも導入するかを議論している段階と報じられています。
サッカーでは80分で選手は体力の限界を迎え、残りの10分は気持ちでプレーするために終盤に足が攣る選手が続出します。
体力の限界を迎える前の60分で交代させた選手と90分フル出場させた選手では、まったく疲労の残り方は違うとされます。
チームにとって重要なベテラン選手を60分で交代させるチームが多いのはこのためです。
1試合5人の交代が可能になると、早めに交代させて週2試合の開催が続いても選手の疲労度を抑制することができます。
特別指定選手や2種登録も含めて若手選手の出場機会も間違いなく増加して、どのチームも世代交代のきっかけとなるシーズンとなるでしょう。
資金難のクラブも増加することが予想されるので高年棒のベテラン選手は、シーズンオフに給料カットや戦力外通告が増えそうです。
また、1試合5人交代が可能になるとサッカーの競技性にも変化が生まれます。
采配によって勝敗を左右する度合いが大きくなり、戦術化がすすみ、選手が駒として使われるように変化していくでしょう。
一芸に秀でた選手を使った戦術変更も容易になりますので、ヘディングシュート、ドリブル、ミドルシュートなどを武器にする選手をスーパーサブとして起用する機会が増えそうです。
セレッソ大阪
開幕戦はホームで大分トリニータと対戦して1-0で勝利したセレッソ大阪。
前半7分でコーナーキックからブルーノ・メンデス選手が先制点を決めて、そのまま逃げ切り勝ちしています。
シュート数は11本にとどまり、18本のシュートを打たれています。
ボール支配率も46%で大分トリニータにゲームを支配されたともいえますし、ボールを持たせていても逃げ切る自信があったともいえます。
とくにセレッソ大阪が4-4-2のシステムと大分トリニータの3-6-1はミスマッチでサイドで数的優位を何度も作られてクロスを入れられていま。
4バックがペナルティーエリア内でキレイなラインを作ってヨニッチ選手、瀬古選手を中心にゴール前で跳ね返し続けたところが昨シーズン同様に守備の固さが前面に出た試合でした。
ロティーナ監督2年目で守備戦術が浸透してゾーンディフェンスを中心にカウンターアタックでロースコアのゲームをものにするスタイルは今シーズンも続くでしょう。
戦力も充実しており、20歳のセンターバック瀬古歩夢選手をレギュラーに抜擢したことで、木本恭生選手をボランチで起用できるようになりました。
また、昨シーズンモンテディオ山形でブレイクした左利きのドリブラー 坂元達裕選手が開幕戦でスタメンを獲得。
中間ポジションでボールを受けるのもうまく、スピードがあって小刻みなドリブルが武器の若手選手は今シーズンのブレイク候補です。
また、ベンチには、FCバルセロナが獲得を狙っていると報じられている西川潤選手が控えます。
西川潤選手も左利きのドリブラーで、仕掛けのタイミングがよくシュートまでのリズム、スルーパスに特徴がありU18日本代表で10番を背負う逸材です。
ロティーナ監督からの評価は非常に高く、特徴が似ている坂元達裕選手とのレギュラー争いはし烈です。
ベルギーリーグ・オイペンから獲得した豊川雄太選手もベンチスタートです。
攻撃的なポジションならどこでもできて、途中出場から得点できる能力も高く、使い勝手の良い選手といえます。
そして、昨シーズンエースとして期待されて獲得した都倉賢選手は前十字靭帯断裂の大怪我から復帰。
ヘディングシュートという絶対的な武器を持っているので、途中出場からでも、試合の流れを一変させることができます。
セレッソ大阪の顔ともいえる柿谷曜一朗選手は開幕はベンチスタート。
守備面と運動量で奥埜博亮選手が評価されセカンドストライカーの役割を担っているので、柿谷曜一朗選手はベンチを温める時間が増えそうです。
ゴール前で変化を作ることができるクリエイティブなプレーにはほかの選手にはない個性がある選手なので、守備的なロティーナ監督の選手起用には合っていない選手といえるでしょう。
昨シーズンはガンバ大阪への移籍が目前だったとところで宇佐美貴史選手の獲得で破談となったと報じられています。
今シーズンもサブ中心の起用方針が続くのであれば他のチームから移籍の声が掛かってもおかしくありません。
ヴィッセル神戸が獲得に動くんじゃないかと個人的には予想しています。
というわけで今シーズンのセレッソ大阪は昨シーズン同様にゲーム巧者ぶりを発揮して中央をしっかり固めてチームとして隙を見せず。ピンチを迎えてもゴールキーパーのキムジンヒョン選手を中心とした守備陣が冷静沈着なプレーを見せ手堅く勝利をつかんでいくでしょう。
選手層も非常に厚く過密日程も不利にならないですし、上位争いに確実に食い込んでくるチームだと思います。
最後に
今回はJリーグ中断期間に5人交代制度とセレッソ大阪についてまとめてみました。
5人交代になるとサッカーの見方が変わるので、すでに公平性を確保することが難しくなったJリーグですが、前向きにこれまでとは違った楽しみ方を発見していきたいです。
セレッソ大阪のようなベンチに駒が複数いるチームは5人交代制度はプラスにはたらくでしょう。